日本行政には行政書士の懲戒事例が掲載されます。
行政書士事務所を開業すると毎月の終わりに、日行連と都道府県の本会から広報誌が郵送されてきます。
広報誌の中で行政書士が一番注目するのは、各都道府県で業務停止や廃業の勧告などの処分を受けた行政書士の事例ですかね。

日本行政で一番読まれるのは、会員の処分事例と申請取次研修のお知らせですかね。
懲戒事例は自分の事務所のリスク管理のための教訓を教えてくれる貴重な情報です。
処分で多いのが業務の著しい遅延と放置
行政書士が処分される事例は色々ありますが、目立つのは業務の遅延と放置かなと思います。

例えば建設業許可などの許認可業務を受任して、業務が進んでいなくて、依頼主さんから契約を解除されて、預かった書類を返さないとか返金しなかったとか。
情けない話ですね。
行政書士業務はヒアリングが命
行政書士の仕事は許認可と事実証明に関する書類の作成が本貫地です。
一般的な仕事のやり方は
・依頼を受ける。
・依頼主と電話・メールなどで面談の日時を決める。
・面談する。
・必要な書類を収集・作成する。
・役所に提出する。
・依頼主に預かった書類を返却。

かなり大雑把ですが、この流れが基本になりますね。
この中で一番大事なのが電話・メール、面談などで依頼主さんの状況と希望を確認するヒアリングです。
行政書士業務を円滑に進めるにはお客さまとの面談が非常に重要です。
私も面談に挑む際は慎重に慎重を重ねております。

ヒアリングの際に有効なのがヒアリングシートです。
自分で作るにせよ、ネットで無料なのを集めて作るにせよ、購入するにせよ、シートの作成のポイントをまとめました。
そちらの記事も良かったら読んでください!
下のテキストリンクからどうぞ。
ヒアリングが不十分だと
ヒアリングで聞く内容は、
・許可申請や相続業務で必要な情報
・お客様にしか分からない情報
この二つの情報を聞き出すことです。
業務内容を熟知していない段階でのヒアリングは危険
建設業許可や宅建業務などの許認可業務、在留資格などの国際業務、相続や内容証明などの民事系業務。
ヒアリングが必要な内容は業務ごとに異なります。
この聞き取りが上手く出来ないと、申請に必要でお客様しか知らない情報が入手できない事態に陥ってしまいます。

必要な情報が足りないと、書類を完成させることは不可能です。
お客様しか知らない情報は、こちらがいくら考えても分かりませんからね。
これが遅延と放置の原因になります。
建設業許可だろうと入管業務だろうと実務をある程度以上に把握していない段階で受注をしてしまうとエライ目にあいます。
集客をする為には、実務の知識だけは付けるようにしないと・・・
実務を勉強する方法は色々あると思います。
メルマガなんかも意外と便利なツールだったりします。
良かったら読んでみてください。
私が良いと思ったメルマガだけを掲載しております。
(いい加減な商売目的のメルマガは弾いています。)
ヒアリングが不十分だと何度も聞きなおしが必要
依頼主から聞き出した情報をもとに許可申請書なり遺言書の原案を作成していきます。
ここで書類作成に必要な情報が足りないと、先方に必要な情報を教えてもらうことになります。
聞き直しには多くの時間が必要です。
先方には電話やメールで確認の電話を入れることになります。
ここで直ぐに教えて貰えたらラッキーですけど。
現実はそう甘くはないです。

電話であれば仕事で留守だったり、メールを送っても中々見てもらえないケースが多いですね。
面談だったら即座に終わることも、電話やメールだと何度も往復しながら連絡を取り合うことになります。
1つの情報を聞き直すために2日から3日、タイミングが悪いと1週間くらいは平気で消えていきます。
その間は当然ながら業務はストップして進みません。
聞き直しも1回から2回が限界か?
ヒアリング不足でお客様に聞き直しをすると時間も取られますが、同時に先方の信用も比例して減少していきます。
1回くらいであれば、向こうも快く応じて貰えますが、2回、3回、4回となると・・・
「この先生、大丈夫か?」
と思われ不安を持たれてしまいます。
業務は進まない、お客様からの信用は無くすと悪い事だらけですね。
行政書士側も聞きづらくなる
3回も4回も追加書類や情報の聞き直しがあると、お客様からも不審がられて怒りますよね。
電話の口調もキツくなり、メールの文章も怒りの表現がところどころに表れてきます。
そうなると行政書士も人の子です。
依頼主さんに必要な情報が聞き辛くなってしまいます。

お客様から怒られるかも、厳しいことを言われるかもと怖くなり、直ぐに電話ができなくなります。
遅れた分だけ業務は進まなくなり、遅延していくことになります。
完全に業務がストップする
必要な書類も集まらない、作成に必要な内容が揃わないと仕事はストップします。
業務の進捗を聞きたいお客様からの電話が何度も入るようになります。
その電話も出られなくなり、向こう側からすると依頼した内容を放置されて連絡もつかない状況です。
最終的には業を煮やしたお客様から契約の解除を迫られる結果になります。
返せるお金がないから返金に応じられない
依頼主から契約を解除され、預かった書類の返却と手付金や預かっていた申請手数料などの金銭の返還を求められます。
場合によっては、損害賠償請求されることも考えられます。
この様な業務遅滞と放置をしてしまった事務所の場合、事務所経営が上手くいっている可能性が低いです。
そんな状態ですから、返金したくても先立つものがない事は珍しくありません。

業務をできるだけのスキルがないなら、依頼を断るなり先輩などのアドバイザーをつけるなりしてリスクヘッジするべきです。
返金されなかった依頼主は、行政書士会に懲戒請求をすることになります。
そして行政書士会から懲戒処分を受けるハメになると言うわけです。

ヒアリングがキチッと出来ないと最悪、このような事態を招きます。
気をつけましょう。

