行政書士は専門業務に拘り過ぎない方が良い。【行政書士独立】

行政書士のセミナーの飲み会等で必ず聞かれるものがあります。
「先生の専門は何ですか?」

 

行政書士は専門分野を持っていないと駄目な感じがしますね。

 

実態は私に特段の興味がないので無難な専門分野を聞いておけば良いだろうと軽い気持ちなのでしょう。
行政書士に会話を広げる場合には一番無難で確実な話題ですから。
実際に私も興味がないのに「専門は何ですか?」と質問しています。

 

「専門分野は何ですか?」に対する私の回答

私の答えは時々によって変わります。
「建設業を中心に行っています。」
「宅建業の新規が結構来ますね。」
「入管系がメインですね。」
「最近は帰化の相談が多いです。」
変わったところだと
「ネット集客が専門です。」

 

今の私はそれ程に専門分野という括りに拘りを持っていません。
最初に専門特化すると視野が狭くなりがちです。
専門にした業務が自分に向いていなかった場合はキツイです。

 

今は緩やかな専門特化にしています。
大学の専攻のように第一と第二専攻といった感じです。
ウェブサイトは完全特化サイトですけども。

 

ちなみに特化サイトとはこの様な感じのサイトになります。

 

 

建設業許可のサイト

 

 

 

どの業務が自分に向いているか、
やって見ないと分からない部分があります。
私は建設業許可は絶対にやらないだろうと思っていました。


 

専門を決める前にやらない事を決める。

自分がやりたい行政書士業務を考えるときに、絶対に手を出さないジャンルを決めると良いと思います。
私のやらない仕事の基準は下記の5つですね。

 

・業務内容に関心がない。
・性格的に合わない。
・業務に発展性がない。
・弁護士法などの業際問題が面倒くさい。
・ネット集客に馴染まないジャンル。

 

全く関心がない業務は継続できない。

業務内容に興味がないと、勉強しても知識が定着しません。
業務上や経営上で上手く行かなくなると、すぐに撤退を考えてしまいます。
関心がないので、ウェブサイトのコンテンツも気合が入りません。
集客が出来ない(する気もない)から、そっち系のお客さんが来ない。

 

 

嫌々やっている様子はお客様にも伝わりますし、第一失礼ですよね。


 

性格的に合わない。

自分がどれだけ関心があっても、性格的に合わない業務というものがあります。
クライアントの客層に馴染めないというのもありますね。
例えば私は建設屋さんや運送屋さんタイプは平気ですけども。
外国人に対しても抵抗感がありません。

 

 

私が苦手な業務に相続遺言があります。
当面は市場規模がエグイほど大きくて、やり方次第では儲かるらしいと聞きますが。
あの暗い雰囲気や業務の難しさなど性格的に合わない業務です。


 

業務に発展性が望めない。

これは1件の業務がリピートしたり、紹介が生まれにくいジャンルの業務です。
いわゆる単発仕事です。
民亊法務系や相続系ですかね。
延々と新規顧客を追いかけ続けないと行けないと経営的にシンドイ部分があります。

 

面倒な業際問題のリスク

行政書士は色々な士業の仕事にバッティングしやすいです。
離婚業務などは典型的だと思います。
一つ間違えれば、相手側に弁護士が登場してきたりする業務には近づかないほうがベターですね。
業際問題は一つ間違えると、廃業のリスクがあります。
面倒な業際問題を考えるよりも、最初から近づかないほうがリスク管理的にも良いと思います。

 

ネット集客に馴染まない仕事

行政書士業務でもインターネットに適したジャンルとそうでないジャンルがあります。
個人的には相続系などはネットに不向きな感じがします。
あとは就労ビザも問い合わせ自体は有りますが、顧客化させるのにワンステップかツーステップが必要な業務もありますね。

 

専門業務を決めた方法

私の専門業務(専攻)は建設業関係と入管系の二本柱体制です。
決めた理由は四つあります。
・行政書士の知名度が高い業務である。
・事務所の立地条件に鑑みて。
・協力者が出来たこと。
・ネットで集客がやり易い。

 

専門業務を決める際の参考にして頂けたら嬉しいです。

 

 

顧客のタイプも重要ですね。
業務は合っても客層で合わないケースもあります。
風俗営業は客層のタイプがダメだと言って、専門業務を撤退した行政書士もいます。
個人的には民亊法務は後ろ向きな客が多いからダメです。


 

行政書士の知名度が高い業務である。

建設業許可と入管業務は行政書士の王道業務や牙城と呼ばれています。
これについては関連記事がありますので、そちらをご覧頂けると嬉しいです。

 

関連記事:行政書士の知名度がない業務を専門にしないこと。

 

知名度がない業務は大変ですよ。

 

 

知名度がない業務は、見込み客に行政書士の業務だと知ってもらう所からスタートです。
マーケティングのコストがエグイことになります。


 

ニッチ業務に関して

一昔前に流行った考え方です。
建設業許可などの王道業務はベテランが押さえているから、新人は別の路線を目指すべきだ。
新人はベテランが手を出さないニッチ業務を勉強して、シェアナンバーワンになろう。

 

関連記事:行政書士とニッチ業務

 

事務所の立地条件に鑑みて。

私の事務所の立地は駅前ではありますけども、ターミナル駅ではありません。
また急行が止まる駅でもない住宅エリアに近い場所です。

 

個人的に入管業務の就労系には力を入れていません。
その代わり外国人の支援機関が妙に多いので、入管業務にニーズがありました。
建設業許可は近隣で専門にしている事務所があったので立地的に取れるのだと思いました。

 

 

いま流行りの就労ビザを中心にしたい人は、都心部、ターミナル駅の近く、オフィス街に事務所を構えると良いと思います。
ライバルも多いけど、需要が高いのはこのエリアです。


 

協力者が出来たこと。

今の私の専門を決めた最大の理由がこれです。
行政書士で何とかやって行く事が出来たのは、助けてくれる先輩に出会えたことですね。
自分がダメでも先輩行政書士に振ることが出来ました。
また作成した申請書一式をチェックしてもらったり、共同で受任してやり方を教えて貰うことが出来ました。
自分のバックに強力な仲間がいるという安心感を得ることで、本気で集客活動を行えました。

 

関連記事:行政書士の修行先を見つける方法

 

 

何度も書いている事ですが、業務に自信がないと営業すらできません。

 

 

これから行政書士を開業する人にアドバイスするなら、信頼できる先輩を見つけろ。
話はそれからだと伝えたいです。
支部は比較的に見つけやすい場所です。
先輩も変なことをすれば、支部内で評判が悪くなりますから。


 

ネットで集客がやり易い。

私の得意分野はSEO対策などネット集客です。
専門分野を選ぶ際には、ネット集客に適さない分野の業務は除外しました。

 

自分のネット集客のレベルと相談して、相続業務は外しました。
相続関係のクエリは上は銀行などの金融機関から大手弁護士法人から同業者、様々な民間企業と強豪が乱立しています。

 

 

何度か挑戦してみたけど、やはり遺言相続は好きになれなかったです。


 

集客は自分が得意なジャンルを頑張るのがよいと思います。

 

行政書士が専門特化するメリット

行政書士が取り扱い業務の範囲を絞ることはメリットが多いです。

 

・マーケティングを集中させることで受注件数がアップ。
・法改正などの業界トレンドを追いかける範囲が小さくなる。
・同じ仕事を集中的に受任するので、1件当たりの処理時間が少なくなり利益率が向上。
・組織化した際には、オペレーションがシンプルになる。

 

色々とありますが、一番のメリットは一分野に集中することが出来ることですね。
オールラウンドにすると、マーケティング営業も業務の守備範囲も広がっていきます。
最新の情報を追いかけるのも大変です。

 

人を雇うときはスタッフの教育も一分野だけを教えればよいので、労使ともどもの負担が軽くなります。
中小企業のマーケティングで有名なランチェスターでも、狭い範囲でトップに立つことの優位性を語っています。

 

 

行政書士業界で大手と呼ばれる法人は、専門特化しているケースが多いですね。
神戸の自動車、大阪や東京の建設業許可、東京の入管業務専門と。


 

専門特化のデメリット

行政書士の専門特化にはデメリットもあります。

 

・専門業務がコケたら全部がダメになる。
・専門化できるジャンルが少ない。
・東京や大阪などの需要が多い地域でしか通用しない。
・専門特化を謳いながら、実はオールラウンド事務所。

 

専門特化は悪い意味で「一本足打法」と呼ばれることがあります。
一本しかない足がコケたら、一貫の終わりというヤツですね。

 

専門分野では圧倒的な強みを持ちますけども。
法改正や市場環境の変化などで、自分の専門の需要が無くなってしまう可能性があります。

 

 

今が調子よくても来年、再来年まで同じ環境が維持されるとは限りません。
経営の怖さは、市場が急激に変化することです。


 

専門特化しやすいジャンル

行政書士業務には1万種類の仕事があると言われていますが。
仕事になる分野は10個くらいですかね。

 

その中でも組織化できるレベルになると3〜4種類になります。
建設業許可関連・自動車関連・入管関係・相続系ですね。
地方で専門特化しやすいのは、建設業許可関連かなと思います。

 

専門特化する為には、一般の行政書士よりも専門分野は詳しくなる必要があります。
勉強する方法として、最新の書籍を読み込んだり、研修会や勉強会に参加したりする必要があります。

 

意外な所ではメルマガも役に立つことがあります。

 

 

行政書士の実務を学べるメルマガ

 

 

このページで紹介するメルマガは、個人的には役に立った物です。
個人さはあると思いますが、良かったらこちらの記事もご覧ください。

 

大都市圏でしか専門特化は難しい。

一つの業務に絞れるのは、事務所の営業エリアに仕事が多数あるからです。
多数の専門特化事務所が生息できるのは、膨大な仕事量が必要になります。
巨大なパイがあるのは東京などの首都圏に限られてきます。
特に入管系は東京の一人勝ち状態ではないかと思います。

 

 

有名な就労ビザ関係の専門事務所は東京にしかないのが現実です。
単純に私が知らないだけかもですけど。
東京で行政書士をしている人が羨ましいです。


 

逆に東京で事務所を構えているのであれば、入管専門で十分に採算が取れると思いますよ。

 

専門特化を謳いながら、実はオールラウンド事務所。

本当の意味での専門特化事務所ではなく、看板だけで実はオールラウンドというケースですね。
産業廃棄物を看板に掲げている事務所も建設業許可をしていたり。
入管専門の看板を出していても、実はオールラウンド型の事務所だったり。

 

私の失敗談01:自分のやりたい業務を専門にしたこと

起業で失敗する典型的なケースですね。
お客様が求めるものを売らないで、自分が売れるモノと売りたいモノだけを扱う。
需要がないものは、如何に広告を行っても反応がありません。

 

開業当時の私はこれで大失敗しました。
最初に手掛けたものは全く売れませんでした。
結局は事務所の運転資金も生活費もヤバい状況になって、フルタイムでバイトする羽目になりました。
バイトに時間が取られすぎて、行政書士事務所は年単位で開店休業状態へと。

 

 

自分の事務所の立地での需要を考えないと悲惨になります。


 

ベテラン勢が専門特化しているのは、その業務のお客様が多くなった結果です。
最初は色々な業務をしていた人が多いです。

 

関連記事:行政書士が兼業でアルバイトをする場合の注意点

 

失敗談02:ネットやセミナー講師の話を鵜呑みにした。

行政書士で独立する前に、様々な開業セミナーに参加しました。
また行政書士のブログやウェブサイトを読みまくりました。
そこで得た知識は以下の通りです。

 

・専門特化しないと生き残れない。
・自分のUSPを明確にしろ。
・行政書士会の支部との付き合いは全部断れ。
・ネットで尖りまくれ。
・アメブロでブログで集客だ。

 

自分なりに理論武装したつもりでした。
私は彼らの話を何も考えずに鵜呑みにして、もの凄く遠回りをしてしまいました。
彼らの教えの通りに専門特化して、独自色を作りブログを書きまくりました。
支部との付き合いは殆ど断りました。

 

結果的に爆死しました。
支部との交流を持たなかったことで、業務のバッファー(保険)が皆無の状態になりました。
新人が専門特化しても、ベテランの片手間以下の知識しかありません。
やったことが無い業務なのに、誰の助けも得られない状況に追い込まれます。

 

 

関連記事:金なしコネなし経験なしで行政書士で独立する場合。

 

 

支部の先輩の助けがなくても、セミナー仲間や講師がいるのでは?
そう思われるでしょうが・・・
全国に散らばるセミナー仲間も新人ですので、質問しても最適解が帰ってくるとは限りません。
下手すると電話すら繋がらないケースも多いです。
セミナーの講師も似たような感じでした。

 

 

セミナーを受ける場合、講師がどこで行政書士をしているかは重要です。
東京の事例はそれ以外の地域では通用しないケースが非常に多いです。
講師側もそれに気が付いていない場合があります。
いつ開業したのかも大事です。


 

結果的に誰の助けも得られずに業務をすることになります。
ハッキリ言ってメチャクチャ怖いですよ。
行政書士業務は、他人様の事業や人生を紙切れ1枚で狂わせてしまう性質の仕事です。

 

専門特化と言いながらも、まともに依頼者の期待に応えることが出来ない自分に嫌気がさしてきます。
一人で業務を受けるのが怖くなり、ブログも更新しなくなりました。
依頼が来なくなれば、生活費と事務所の維持費が賄えなくなります。
事務所の維持と生活のためにバイトをすることになり、さらに業務から遠ざかることになります。

 

私みたいな失敗をして欲しくない。
これが私の切なる願いです。

 

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