官公署に提出する書類の作成は行政書士の独占業務です。
行政書士は3種類の書類作成が独占業務として認められています。
一応参考までに
・官公署に提出する書類
・権利義務に関する書類
・事実証明に関する書類
今回は官公署に提出する書類(許認可業務)に関してお話しします。

即独した行政書士が、何とか業務をできるようになるまでの試行錯誤の結果をお話しします。
許認可業務の学習方法の流れ。
私がやっている方法は。
・許認可を管轄する行政庁のウェブサイトより手引きをダウンロードする。
・手引きを冊子印刷で印刷する。
・まずは手引きを2回ほど読む。
・行政庁のサイトから申請書をダウンロードして、手引きの内容を手書きで丸写し。
・もう一度、手引きを読み返す。
・今度はPC上で申請書を入力してみる。
・もう一度手引きを読み込む。
こんな感じで許認可業務を学習しています。
ある程度の内容を学習し終えたら、業法やガイドラインなどを確認していきます。

正直言って効率が良いやり方だとは思えませんが、効率は業務をする段階で追及したほうが良いです。
行政庁のウェブサイトから手引きなどをダウンロード。
建設業許可や宅建業免許であれば、都道府県の建設業課のウェブサイトから手引きをダウンロードできます。
産業廃棄物収集運搬業でなら都道府県の産廃関連の部署にて手引きを落とすことが可能です。
ウェブサイトにPDFかエクセル・ワードのファイルがありますのでお好きなほうを落としてください。
個人的にはワードで作成された方が、オリジナルのヒアリングシートやチェックリストを作る際に便利かなと思います。
許可によっては詳細な手引きがないものもありますので注意が必要です。

自分の都道府県に許可の手引きがない場合は、他の都道府県のウェブサイトをチェックすると手引きが見つかることがあります。ローカルルールの存在があるのでそのままは使えませんが、参考資料としては十分な価値があります。
学習用の手引きは冊子印刷でコンパクトに。
建設業許可などの手引きはPDFやワードファイルはA4サイズになっています。
このまま印刷しても良いのですが、多くの紙を消費してしまいます。
建設業許可なら新規と更新と経営事項審査を合わせると300ページは軽く超えますので、トナーやインク代も馬鹿になりません。
またA4サイズだと場所も食いますので、私はA5サイズで冊子印刷にしてビジネス書くらいの大きさにしています。
冊子印刷で両面にすると紙の消費も四分の一ですみ携帯に便利です。
私はブラザーの複合機を使っていますので、参考までに、ご紹介します。
設定は以下の通りです。
・ページサイズの処理は小冊子。
・綴じ方は右。
・向きは縦。
・片面両面の設定は両面印刷。
この設定で印刷すると、冊子風にすることが可能です。
印刷した後に半分に切って並べ替える手間がかかりますが、出来上がりは悪くないですよ。
この時に物差しで切ると、見た目がよろしくないですね。

A5 サイズの冊子風に作るまでに、何度も印刷を失敗しました。
あと印刷した紙を見ると順番がバラバラですが、半分に切っていくと綺麗に揃っていきます。
まずは手引きを2回ほど読む。
A5サイズの冊子を作りましたら、まずは手引きを読み込んでいきます。
最初はこんな物かというくらいの理解で十分です。
全体像を押さえることが出来ればOKくらいの軽い気持ちで進めていきましょう。
1回読んだくらいでは、完全に理解することが出来ないからです。
一通り読み終えたら、もう一度読み返します。
2回目は1回目よりも個別の論点を確認しながら読み進めていきます。
ポイントとなるような事柄はメモしておくと良いでしょう。
後でヒアリングシートやチェックリストを作るときに役に立ちます。

手引きを読んだだけで業務ツールを作っても、漏れがあったりして使えない代物しかできません。
私はこれで何度も失敗しました。
申請書をプリントアウトして実際に書き込んでみる。
お次は行政庁のウェブサイトでダウンロードした申請書を実際に書き込んでみます。
この時のポイントはプリントアウトして手書きで書面を作ってみることです。
申請書に各内容は手引きの内容を丸写しでOKです。

建設業許可なら書籍など事例が結構ありますが、それ以外だと手引きくらいしか書けるものが無いのが事実です。他の都道府県の事例を使えば書籍がない許可でも複数の事例で練習できます。
申請書を実際に書き込んでみると、手引きを読むだけでは良く分からなかった事柄が理解できます。
手引きでも許可の条件などは読み込みますが、書き方の部分は疎かになりがちです。
手書きって正直アナログな感じもしないではないですが、最初はプリントアウトして鉛筆で書面を書くことをお勧めします。
PCやスマホのディスプレイ上では見落としが発生します。

手引きや参考書を読むだけでは、分からない部分があっても気づけません。実践で覚えるのが一番早いです。
もう一度、手引きを読み返す。
申請書を何度か書き込んである程度、書式に慣れた段階で、もう一度手引きを読み返します。
するとどうでしょう。
最初に読み込んだ時よりも、理解できているのが分かります。
感覚的には細かい文書でゴチャゴチャと書かれた手引きがクリアに見えてきます。
この段階で手引きの細かい部分まで目が行き届くようになってきます。
手引きの更新頻度が低い許認可ですと、意外と誤字や脱字があることにも気づけます。

実際に手を動かして許可申請書を書いてみて、手引きの内容がスッキリと頭に入ってきますね。
今度はPC上で申請書を入力してみる。
ここまでやると手引きの内容がかなり理解できていると思います。
次にはダウンロードした申請書をPC上で記入していきます。
業務を行うときは申請書を手書きする行政書士は居ないですので、実務の練習だと思ってやってみてください。
役所からダウンロードした書面を書いていると作成者の妙な癖があったりします。
落とした申請書を書きやすいようにカスタマイズしていくと良いと思います。
あとPCで作ってみた許可申請書は必ずプリントアウトすることを強くお勧めします。
ディスプレイ上での表示と実際に印刷すると微妙にズレていたりします。
この辺のズレも微調整して綺麗な書面を作れるようにして行けたら最高ですね。
役所によっては、PDFの書類しかない場合があります。
行政書士業務ではPDFの編集ソフトは必須ですね。
Adobe社のアクロバットが理想的ですが、行政書士会でもお勧めしている編集ソフトもありますので、お好きなものを買ってください。
個人的にはフリーは使いやすいものが少ないのでお勧めいたしません。

開業当初はお金が無くて、フリーのソフトを探していましたが、結局いいヤツが見つからなくて多くの時間を無駄遣いしました。
もう一度手引きやを読み込む。
実際にPCで書類を作り込めるようになった段階でもう一度、手引きを読み返していきます。
今度は内容のおさらいと業務で使うためのヒアリングシートやチェックリストの作成を意識しながら精読します。
建設業でも宅建業でも産廃業許可でも、許認可業務を行うにはヒアリングシートの作成は必須です。
これらのツールを理解が不十分な状態で作ると漏れが発生したり、不必要な情報を組み込んだりします。
一番の理由は、自分が作ったツールが機能するのか分からない自信が持てないことですかね。
中途半端なツールは何度も作り直す羽目になり時間だけが無駄に過ぎていきます。
ツールを自作するときは、許認可の内容や書面の作り方を理解した段階まで進めてからスタートするのがベストかと思います。

ツールは自分で作って行かないと、駄目だと思います。他人のツールは使いにくいですし、頻繁に許可の要件が変わったりしますからね。
意外と役に立ったメルマガ
許認可業務を勉強するうえで、意外と役に立ったのが行政書士が発行するメルマガでした。
lineの全盛期にメルマガ?と思う方も居られるでしょうが。
昔の様に無いよう薄いメルマガは減ってきています。
(変なメルマガは長期的には儲からないから淘汰されてる?)
百以上行政書士のメルマガを学習目的で購読してきた中で、比較的に良かった物をご紹介しています。
良ろしければご覧ください。
許認可業務には登記簿が読めないと厳しいです。
建設業許可や宅建業免許では会社の役員が登記簿にキチッと載っているか、事務所が登記されているか、事業目的が許可業種について記載されているかなどを調べる必要があります。
調査するためには法務局で登記簿やご依頼主から定款のコピーを頂戴します。
ここで登記簿が読めなければ、何を書いてあるのかさっぱり訳が分からない状況に。
特に取締役の任期には非常に注意が必要です。登記簿上で役員の任期が切れて、更新されていない場合があります。登記簿に慣れていないと役員の就任日と退任日が分かりにくいです。

管理人も初めて許認可業務をやった時に、登記簿の読み方が良くわからなくて冷や汗をかいた経験があります。
最後に
行政書士試験に合格して、即独した人間にとって許認可業務はハードルが高いです。
私の場合は営業や事務職などのビジネスマナーが必要な職種での経験がない状態でした。
行政書士業務を覚えるのも手探りでやって行くしかありませんでした。
本会の研修でも業務のサワリは教えてもらえますが、研修を受講するだけでは業務ができるレベルにはなれません。
上記のやり方は小売業の販売職しか経験のない管理人が色々な方法を試して編み出した手法です。
お世辞にも効率が良いとは言えないやり方ですが、良ければ参考にしてください。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます!
